理念
人類の歴史の中で20世紀ほど科学技術が急速に発達し、多くの利便性を享受し、私たち人類の未来に夢を育んだ世紀はなかったと思います。しかし一方で20世紀は二度に渡る世界大戦が繰り広げられた世紀でもありました。とりわけ第二次世界大戦では多くの尊い人命が失われたばかりか、様々な人権侵害がおこなわれ、日本も最中に置かれていました。
この様な事への反省から国連は1948年12月10日の第3回国連総会に於いて「世界人権宣言」を採択し、人権の尊重が平和の基盤であることを国際社会に訴えました。この事を契機として国連は各種の人権に関する国連条約など、様々な人権を擁護し促進する活動を行い、現在では国際社会全体で人権に取り組もうとする国々が増えています。
21世紀は「人権の世紀」と言われています。この「人権の世紀」という言葉には、「戦争の世紀」と言われた20世紀の苦い経験を踏まえ21世紀を平和と人権が守られる世紀にしたいと思う、私たちを含め世界中の人々の願いが込められている言葉だと思います。
人権とは決して私たちの日常生活とかけ離れたものではないという事を忘れてはなりません。
私たち一人一人はみんな違いますが、人権はすべての人に平等に保障されています。しかし自分の人権を主張するだけでは他の人の人権を侵害する場合もあります。一人一人がお互いの違いを認め、他の人の人権を守ることが、ひいては自分の人権を守ることにつながるのだと思います。
人は一人では生きていけるわけではありません。だからこそ日頃からお互いの「違い」を認め合い他の人の人権に配慮して生活することが重要ではないかと考えます。「人権の世紀」と言われる21世紀を真の「人権の世紀」とするためあらゆる人々の人権が守られる社会を目指し、国際社会の一員として、また日本国民のひとりとしてその役割を積極的に果たしていくことが、今私たちに求められているのではないでしょうか?
「人権」よく耳にするし、メディアなどを通じ活動や運動をよく目にもすると周りの人からよく聞きます。人権とは何でしょうか。「人権」とはHuman Rightを訳したもので、「人が人らしく生きていくために社会によって認められている権利」また「人間が人間らしく幸せに生きていくための権利」であると言われます。人権は私たち一人一人生命や自由、平等を保障し日常生活を支えている大切な権利です。また国籍・性別・出身地・経歴等にかかわらず、誰もが生まれながらにもっていて普遍的に保障されている基本的な権利ですが、心身の障害のために、あるいは国籍や民族・出身地域といったその人自身の責任に属さない理由によって、ごく当たり前の願いが阻まれることがあります。そのとき私たちは、それを「人権侵害」といい社会的差別というのです。人権を身近に考える事柄として、人権団体やボランティア団体は、そうした社会的不公正と戦う人たちであるといえます。
ボランティア活動の根底にあるものは人権の擁護だと考えます。たとえばボランティア活動といえばだれもが思い浮かべる障害者や高齢者の介助といった活動も私たちはそれを「かわいそう」だからと行うのではなく「自分が同じ立場にあればやはりそのようにしてほしいと思う」心があるだろうから行うのです。そこには「同じ人間としての共感」の基礎にあるのが人権の感覚なのだと思います。「人権の感覚」などといえばむずかしいもののように考える人がいるかも知れませんが、それほどむずかしく考える必要がないのです。基本は「人は誰でもみずからの責任に属さない事柄を理由として社会的に不利益な扱いを受けない」ということ、この点においてすべての人はみな平等である、ということです。
新しい人権思想として1981年の国際障害者年をきっかけに日本の社会にも定着してきた「Normalization ノーマライゼーション」(共生)の理念も日本の人権団体、ボランティア団体の活動に大きなインパクトをあたえたと思います。人権に関する事柄は様々にして数多くあり、ボーダーレス(無境界)化しています。しかも世界の政治・経済の状況や社会情勢など、どんどん変化していてその影響を受けて日本の状況も変化していきます。
また、日本に限っても先年からの歴史・風土・文化に伴う人権も多々ありますし、社会の変化に伴い新たな人権課題が生じ、人権のあり方も変化していきます。私たちは時代とともに拡がりを見せる人権の状況に関心を持ち、一つ一つ解決に向けた具体的な行動を求められている時代の真只中に生きているのだという自覚が必要ではないでしょうか。
わが国の憲法は国民主権、平和主義とともに基本的人権の尊重を三つの柱としており何人も侵すことのできないものであると保障されています。基本的人権は憲法によって初めて認められるのではなく、私たちが「人として生まれてきたために当然にもっている権利」です。「基本的人権」は「人権」あるいは「基本権」ともいいますが、人間の尊厳に由来する「天賦の権利」です。日本国憲法はわが国の人権宣言であると言っても過言ではありません。憲法の第11条から第40条までと第97条、第98条は基本的人権にかかわる法になっていて、特に第11条、第12条、第13条、第14条、第25条、第98条については二度三度読み直してもいいと思います。
2000年(平成12年)11月には人権擁護推進審議会が「人権救済制度のあり方に関する取りまとめ」を公表。同年12月6日には「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」(人権教育・啓発推進法)が施行されました。この法律は、人権教育・啓発の理念や国・地方公共団体・国民の義務を明らかにし、人権教育・啓発により一層の推進を図ることを目的とした法律です。
この法律に基づき、国は「人権教育のための国連10年」国内行動計画などふまえた「人権教育・啓発に関する基本計画」を2002年(平成14年)3月の公表しました。この基本計画に基づき、人権が共存する人権尊重社会の早期実現に向け、国は人権教育・啓発を総合的かつ計画的に推進することを決めたのです。
この法律にのっとった基本計画では12の人権課題を取り上げていますが、これは12の大きな人権差別の問題、事実があると国が認めたことになります。この事はわが国の人権問題を振り返ると、飛躍的な進歩といっても過言ではないでしょう。
では、その12の人権問題とは、女性の問題、子供の問題、高齢者の問題、障害者の問題、同和問題、アイヌの人々の問題、外国人の問題、HIV感染者の問題、刑を終えて出所した人の問題、犯罪被害者の問題、インターネットに関する問題、あらゆる人の問題。以上の様な12の課題になりますが、あくまで課題に取り上げていると言うことで、まだまだ人権に関わる問題もあるとも思います。
人権というテーマで活動していくことは難しく考えがちではありますが、先に述べた様に本来は一番身近にあるものです。今も私たちは人権差別を受けている事柄が多々あるはずです。そのことを真摯に受け止めまずは出来ることから無理なく行動を起こすことが人権差別を無くしていく第一歩だと考えます。
一人より二人、二人より三人と人権の輪を拡げ差別のない社会を目指すために私たちは結集するのだと心から思うことが大切なのではないでしょうか。会是もこの様なことを旨とし「平等・公平・ノーマライゼーション」と声高らかに発しています。
