活動報告
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2013年 年頭総裁挨拶

すべての分岐点「こころ」をあらわに 総裁 谷 和幸

「民威を畏れざれば則ち大威至る」

現代社会の有様を考えさせるこの詞は私が自戒の念を含めよく使う詞です。そして21世紀に入り今まさに「智慧出でて大偽有り」の時代だと痛感している一人でもあります。

新しい年を迎え多くの人が日本というコミニュティーの中で大きな不安を抱いているのではないでしょうか?グローバル競争が激しさを増す中急激に進むグローバル化の渦に巻き込まれ我が国は是非もなく早急に善処、対処しなくてはなりません。また喫緊の課題も山積しています。政治、経済も混沌とし日本人の多くがメンタリティーを侵されてしまい社会全体に疲弊感が漂っているように感じます。

アメリカのサブプライムに端を発したリーマンショックが世界中を駆け巡ったのも記憶に新しく日本にも多大なる影響をもたらしました。そして東日本を襲った未曾有の激甚災害。日本人はこの災害により真の意味での自然の驚異をまざまざと見せつけられ、数多くの尊い命が失われ多くの人々が心も奪われました。

更には社会経済にも計り知れないダメージを残しているのも周知の事実です。私たちは反省の意味も込めて明日の日本を担うであろう人たちに忘却曲線を描くことなく心に残ることばを命のメッセージとして伝えて行かなければならない義務があると思います。

人間に形態の変化があっても差別は「こころ」からおこるものであるという人権に対するあり方の基本をこの災害が念を押すかのごとく伝えているような気がします。教訓と呼ぶには余りある災害ですがこれからはさらなる自然界からの警鐘を直視しながら未来へとすすめと言わんばかりに、そして自己を支えてくれる他者の発見という人権に関わる大切なことを再度教えてくれています。

3.11以降、死に対して直接的体験、間接的体験の相違がはっきり再認識できます。直接的体験では家族との死別、親しい友人の死。間接的体験は親しくない友人の死や事件事故をテレビラジオなどで見た、聞いたなど。

まず間接的体験の人はやたら話をします。しかしそれらのほとんどが想像と観念的な見方です。直接的体験の人はほとんど話をしません。間接的体験の人は、人間はいつ死ぬかわからないと思いその後で自分のしたいことをたくさん話します。それに対し直接的体験の人は「家族を大切にしたいとか、友人を大切にしたい」という人が圧倒的です。これを踏まえ直接的体験の人の話は人権の根底にある相手を想いやる「こころ」から生まれてくるからです。絆ということばがここ最近頻繁に使われるようになりましたがこれからも詞として心を込めて使っていきたいものです。

霊長類である人間も含め生きとし生きるすべての生き物が自然を享受し自然界の中でお互いに助け合いが普遍的に行われてきました。このような相互扶助が生きていくうえで利点にもなっていますが結果である優劣だけになってしまうと社会のバランスが大きく崩れ人としてのここまでの進化はなかったと思います。普遍的であるはずの相互扶助、このバランスが崩壊してしまうと社会的格差がうまれ拡がっていきます。

物質至上主義に傾きすぎ需要過剰社会が到来しこの結果どのような成果が得られたのか今一度検証することも必要ですし、物質主義による科学技術の発達が人と自然との調和を引き裂いているという現実もあります。

歴史上こんなに物質の豊かであった時はなかったような気がします。社会は激動し人々の生活は絶え間なく進歩していきます。もしもその動きについて行くことが出来なければ取り残され文明の孤児になってしまいます。人が生きていく中で社会の動きや生活の進歩、不条理な体験や不運な出来事を余儀なくされることがあります。そんなとき歴史の巡り合わせ、自らの運命や境遇を呪っても何も始まりません。此までは物質文明が進歩し生活様式が合理化してゆくと私たちの心も豊かになっていくだろうと考えられてきました。しかし、現実を眺めると本当にそうだったろうかと疑問を持ちたくなります。

人の飽くなき欲求は人間社会を進歩させ、社会を発展させる原動力になっていました。しかし物質主義と合理的精神の証といえる利便性の著しい発展に伴い成熟したモラルセンスが欠如し始めてきていることは悲しいことです。

自然はバランスを崩し経済は行き詰まり人は進むべき道を失い困惑しているように見えます。人の心から情緒、モラルが失われつつある今、危機感すら覚えます。常軌を逸した無規範で残忍な事件が多発し過去には考えられない犯罪も起きています。

私たちは日々の暮らしの中で異変に気がついているはずです。経済・文化の進歩はめざましいものですが「こころ」の進歩はとまっているのではと。

人は「こころ」というより高い善の観念を持っています。善を信じる気持ちが人間の「こころ」でもあるのです。未曾有の体験をした私たちは人権差別の根源でもある心のあり方を「こころ」で取り戻しました。

人間社会は一人一人の生きている証で成り立っているという原理からすれば人間社会を形成する上でもっとも大切な「こころ」をあらわにした私たちは、優秀な民族として世界中から称讃持てはやされた時のように今の混沌としている社会を乗り切っていけると確信しています。

時代の変化に伴い、様々な人権抑圧が起きます。私はすべての差別を社会からなくしたいと思う「こころ」で本年も活動して参る所存です。

最後になりますが私たち全国水和会の人権活動に多くの方々のご参加、ご支援、ご協力を賜りましたことに深く感謝しこの場を持ってお礼させて頂きます。本年もよろしくお願い申し上げる次第です。

 

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